武さんを追いかけるリスクを考えて405号室にいってみようと答えた。
405号室に入ると血の匂い部屋中に漂っていた、3人の男がぼんやりとバスルームのドア前に立っている。
一人の腕は武さんに切り付けられてまだ出血していたが、三人は何かに怯えていたようでそれにまったく気づかなかった。
Z君は身長の優勢を利用して三人の後ろから覗いて見たが、すぐに廊下に駆け出して吐いた。
僕も三人の男性に近づき彼らを通り越えて見るとー
黒いスカートを履いた女の子が上半身を裸にしてバスルームの床に横たわっていて、彼女の側腹部に大きく開いた傷口から出血していた。腎臓の位置だった。
実は、僕も当時は少し戸惑っていたが、ショートメッセージの音で現実に戻った。
スマホを取り出して確認すると、遅れたメッセージだった。
「漢庭の会員様、漢庭ホテル北京工人体育館店へようこそ。あなたの部屋番号は405です、ごゆっくりお過ごしください...」はっ?!
武さんは僕の身分証を使ってチェックインしたんだ。
このやろう、いつ盗んだんだ。。。現実に戻った僕は119と110に連絡した。
警察に電話したのを見て、ヤバいと感じた三人の男が去りたがっていた。
でも、僕は彼らを止め「この女の子も友達なんでしょう?」三人の表情が変わり、一人が歯を食いしばって「くそ!俺は残る!」と言った。
警察が到着した後、彼ら三人と僕を連れていった。
Z君に関しては、僕が警察が来るまでに先帰ってもらうよう伝えた。ーー僕を保釈しなければならないから。
Z君のお父様のおかげで、部屋のチェックインに僕の身分証が使われていたにもかかわらず、警察署で一晩も過ごさなかった。
Z君に助手になってもらうメリットは、彼が常に多くの問題をお金なり彼の父親の人脈なりで解決してくれるから。
警察署を出て、再びZ君のM3に乗り込んだ。
二人は24時間営業の焼き鳥屋に行って一晩中飲み、さっき経験したことを語った。「徐さん、今回の発展は本当に予想外だな。」とZ君は言った。
そう、人々は常に物事の見た目に騙され隠された真実を見つけることができない。
例えば僕が工人体育場北門で見かけた裸の女は拾われた「死体」ではなく、ただ精神的な病気を持ったオカマだったこと。
例えば武さんが「死体」ピッカーをしようとして美人局に遭って、ヤバいだろうと思ったら美人局の四人の方がヤバかったこと。
例えば僕はナイトクローラをやって彼を調査するつもりが相手に身分証盗まれ、大きなトラブルに巻き込まれそうになったこと。
幸いに今回収集できたニュ―ス素材はいい値段でSOHUに売れた。
1995年、マサチューセッツ工科大学を卒業した張朝陽(現CEO)が中国に帰国後に設立。1998年に独自のサーチエンジンを開発し、ポータルサイト「捜狐」をオープン。
この件に関わっている人たちに関して、腎臓が切られた少女は結局死ななかったが、おそらく二度と工人体育場に行かないだろう。
美人局した三人の男は逮捕されたが、刑はさほど重くなかった。
Z君はエグい場面の衝撃で吐いたけど、次の日は超元気に友達に電話して昨夜の経験を自慢していた。
そして武さんーー
本当に名前が武さんかもわからないけど、僕がスマホで撮った彼の写真はほとんど警察に削除された。
けれど、警察署に行く途中靴の中に隠したボイスレコーダーは、僕が最初に彼に会ったときの会話を記録した。
事後聞いてみると、初めて武さんに会った時、彼が微笑んで話してくれていた「死体」ピッカーの体験談の中に、すべて兆しがあったのだ。